「マニアによる乱獲」はタガメの「生息地」を減らすのか

Yahoo! ニュースで取り上げられていた産経ニュースの記事で気になる表現がありました。重箱の隅をつつく行為ですが。

タガメは国内最大級の水生昆虫として人気があり愛好家も多いが、近年は水田の水質汚濁や池沼の開発、マニアによる乱獲などで生息地が激減。環境省によると、販売目的の大量捕獲が続けば、絶滅の恐れが高まると判断した。

タガメ売買禁止、閣議決定 2月施行、乱獲で生息地減 - 産経ニュース

「マニアによる乱獲」という表現が「近年は水田の水質汚濁や池沼の開発」と並列されているのですけれども、希少野生動植物種専門家科学委員会で多産で回復が早いと言われている動物を個人であるマニアが乱獲して激減させられるものでしょうか。

好意的に取れば「近年は水田の水質汚濁や池沼の開発ので生息地が激減した上でマニアによる乱獲などがあり」を字数の都合でまとめたと考えられますが、そう考えても個人(マニア)による採取は許している希少野生動植物種専門家科学委員会の判断とは矛盾しています。

特定第二種国内希少野生動植物種の選定について - 令和元年度第2回希少野生動植物種専門家科学委員会 議事次第・資料
http://www.env.go.jp/nature/kisho/kagaku/191225siryo02.pdf
(「法第9条第2項及び法第12条第3項における販売又は頒布の適用フロー図 」として規制の分かりやすいフローも記載されています)

タガメは農薬などの汚染にとても敏感で、非常に微量の濃度でも成長を阻害されるか、死んでしまいます。このため、農家が大量に農薬を使い始めた頃から、その数を急激に減らしました。それでも丘陵地のため池では水はけが良いせいか、本種の生息のよりどころとなっていました。しかし、近年のゴルフ場などの乱開発が、これらの生息地も次々と破壊し、芝生の除草剤などが汚染を進め危機的な状況にあります。

RL/RDB:環境省

環境省によるタガメの説明でもマニアという表現は一言も出てきませんでした。むしろ乱開発と農薬による水質汚染を強調しています。

確認していない範囲でマニアが原因と言及されていたら記者の方に申し訳ないですが、因果関係やスケールの混同には違和感を感じます。