「難易度」の語順とベクトルの向き

「難易度」は「湿度」「温度」「濃度」とは異なり字面から方向の定まらない言葉です。例えば「湿度」は湿り気の尺度であり、空気中の水分量を軸(単位ベクトル)とした正方向のベクトルの大きさと考えることができます。「温度」は温かさ、「濃度」は濃さについて同様に方向の定まったベクトルの大きさと考えられます。ところが「難易度」は難しさと易しさを同時に含み、字面からはベクトルの方向が定まりません。一般的な意味では難易度が高いほど難しい、つまり難しさの指標となりますが、その意味では「難度」という言葉が適切かと思います。

湿度、温度、濃度を難易度のように三文字で表すと「乾湿度/湿乾度」、「寒暖度/暖寒度」、「希濃度/濃希度」が挙げられます。濃いの対義語は薄いが思い浮かびますが、希硫酸と濃硫酸という化学用語から「希」を採用しました。湿乾や暖寒、希濃と濃希は聞き慣れませんが、「乾湿度」や「寒暖度」は「度」の外れた「乾湿」「寒暖」として差の大きさを表す言葉として使われる印象があります。この「乾湿」「寒暖」は湿度や温度が低い→高いの順に並びますが、難しさを示す「難易度」の「難易」はこの逆です。

いろいろと考えましたが、「難易度」がなぜ「難度」よりも普及した類義語として使われるのか、「寒暖」「乾湿」とは語順が逆なのか、いつの日か知りたいと思います。