本屋さんでデザインの本を見かけたので

本屋さんで配色デザインの本を見かけたので、何となく気になって読んでみました。満開の桜、夜景、協会のステンドグラスーーきれい、華やか、豪華、煌びやか、静寂と自身の体験や写真、絵画をみて感じた気持ちを伝える、装うのも配色デザインなのだなと、今更ながら感じました。

インターネットは情報を手に入れるために使っているのであまりデザインは意識してきませんでしたが、今後はデザイナーさんやクリエイターの方が配色から何かを伝えたいサイトを意識して探していきたいです。何を感じて、何を伝えようとされているのか。

Pythonの二重アンダーラインで囲まれた名前

C/C++の二重アンダーラインで囲まれた名前には__FILE____DATE__があり、大文字で定義済みマクロでした。一方でPythonの二重アンダーラインで囲まれた名前には__bool____len__があり、これらは組み込み関数に機能を提供するクラスの関数として機能するそうです。

二重アンダーラインはいろいろな言語で予約語を示す接頭語あるいは接頭語として使われますが、Pythonでの使われ方について気づいたので備忘録として。

参考

順序尺度「軽傷、重傷」「低値、高値」に割り当てられる数字

「軽傷、重傷」と「低値、高値」はどちらも定性的データで順序尺度に該当します。順序尺度は順序には意味があるが間隔には意味のない尺度であり、例えば低値<高値はいえますが高値-低値は特定の値に定まりません。

一方、「軽傷、重傷」と「低値、高値」には当てはめられる数値の符合が異なると考えられます。「軽傷、重傷」の残りはおそらく「無傷」なので無傷<軽傷<重傷と並べられ、例えば無傷0<軽傷1<重傷2のように非負整数が割り当てられます。「低値、高値」の残りはおそらく「正常値」なので低値<正常値<高値と並び、例えば正常値を0とするか1によって低値0<正常値1<高値2や低値-1<正常値0<高値1と任意の整数が割り当てられます。

実際には順序尺度の数値に大小関係以外の意味はないので軽傷-500でも構わないと思うのですが、残りを考えることで当てはめられる数値の符号が定まること、なんとなくおもしろいなあと思いました。

IQと身の回りの合計値類(身長、BMI、エネルギー消費量)の類似点

『ケーキの切れない非行少年たち』(宮口 幸治、新潮新書)を読んでいて、IQがほぼ正常でも生活に困る人がいることを知りました。本ではその原因のひとつとしてIQ(おそらくWISC-IVによる全知能IQ=FSIQ)がいくつかの検査結果の合計値であること、合計値であるIQ(WISC-IVならFSIQ)が一定水準を上回っても検査結果のどれかが低すぎればその能力を原因として生活に障害を及ぼすことが紹介されていました。本の内容とはずれるのですが、日常にも実は合計値であるものってたくさんあります。

正確な計算式ではないと思いますが、WISC-IVのウェブページで公開されている項目を単純に足し合わせるとFSIQ(WISC-IVによるIQ)は次のように表せます。

 \mathrm{全検査IQ (FSIQ)}=\mathrm{言語理解指標 (VCI)}+\mathrm{知覚推理指標 (PRI)}+\mathrm{ワーキングメモリー指標 (WMI)}+\mathrm{処理速度指標 (PSI)}

身長もFSIQに似ています。大雑把になりますが次のように表せます。同じ身長でも頭が長い人、首が長い人、胴体が長い人とさまざまな人がいて、身長が高くても座高が高いことを気にする人は足が長ければ良かったと悩むこともあるかもしれません。測定されるのは主に身長ですが、私たちはスタイルを考慮してより細かな座高や脚の長さを踏まえて悩みます。

 身長\simeq 頭の長さ+首の長さ+胴体の長さ+脚の長さ=座高+脚の長さ(長さは上下の長さ)

BMIやエネルギー消費量もFSIQに似ています。大雑把になりますが次のように表せます。BMIはダイエットの指標となりますが、過度の食事制限だけで体重を減らすと脂肪重量だけでなく除脂肪体重も落ちて除脂肪体重に含まれる筋肉も減少することから、体重は減ったけど基礎代謝量も減少してリバウンドしやすくなったり運動機能の低下が生活に支障を及ぼすという問題も聞くことがあります。エネルギー消費量も筋トレによる基礎代謝量の向上がよく聞く表現かなと思います。これらはBMIやエネルギー消費量という合計や合計を用いた値だけ見ていては意識しない部分です。

 \displaystyle \mathrm{BMI} = \frac{\mathrm{体重[kg]}}{\mathrm{身長[m]}^2}=\frac{(\mathrm{除脂肪体重}+\mathrm{脂肪重量})\mathrm{[kg]}}{\mathrm{身長[m]}^2}
 \mathrm{エネルギー消費量} = \mathrm{基礎代謝量}+\mathrm{活動時代謝量}+\mathrm{食事誘発性熱産生}

また、マニアックな部分ではPCRのバンド、質量分析におけるTICも合計値であり、それだけ見ていると見落としが生じる部分かもしれません。例えばPCRでは1塩基置換のように細かな部分はバンドが重なるかと思いますし、TICもマススペクトルまで確認しなければ性質の似たものを一括に扱うことになります。

ここまでは合計値として扱うことの悪い側面を強調した気がしますが、これらにはもちろん良い側面もあるかと思います。IQであれば一定以下であれば本当に支援が必要という簡易基準となりますし、身長やBMIもプライバシーや測定の簡単さに配慮した測定値です。エネルギー消費量もエネルギー摂取量と比較する目的であれば有益な指標です。PCRのバンドやTICも全体の傾向を把握するためには有益です。

身の回りには色々な合計値があり無意識でも利用できるようになっているものですが、少し意識して分解してみると、世界はもっと面白く、分解結果が役に立つこともあるかなと思うこともあります。

ウイルス感染症のPCR検査の感度・特異度

素人によるウイルス感染症PCR検査の感度と特異度についての解説です。内容は間違っているものと疑ってください。

ウイルス感染症PCR検査の結果は陰性と陽性に分けられますが、陰性と陽性はさらに真陰性と偽陰性、真陽性と偽陽性に分けられます。真と偽を分けるのはPCR検査の結果と「本当に感染症である」の一致有無であり、PCR検査が陽性で本当に感染症なら真陽性、本当は感染症でないなら偽陽性PCR検査が陰性で本当に感染症でないなら真陰性、本当は感染症なら偽陰性となります。つまりPCR検査の結果は「本当に感染症である」かどうかは意味せず、その他の情報と組み合わせて真偽を判定する材料といえます。

真陽性、偽陽性、真陰性、偽陰性の四項目では数が多いからか、これらをまとめた感度、特異度というものも使用されます。詳しくはGoogle検索で見つかる解説に任せますが、(この場合の)感度と特異度はそれぞれ真陽性と偽陰性偽陽性と真陰性の四則演算で計算されます。私たちが普段見かけるのはこの感度と特異度ですが、その背後には真と偽の陽性と陰性が潜んでいることを覚えておくと専門家がPCR検査の結果を疑う背景を呑み込みやすいかなと思います。

参考までに偽陰性の例。

  • 「ウイルスは確かに感染しているけれども、感染部位が肺の奥で咳や痰の出が悪いから喉の奥を拭ってもウイルスのDNAやRNAをまったくあるいは十分量採取できなかった」
  • 「ウイルスは確かに感染しているけれども、扱いが悪くてDNAやRNAの必要部位が壊れていた」
  • 「ウイルスは確かに感染しているけれども、機器や試薬の状態・設定・仕様が悪くてDNAやRNAを増幅や測定できなかった」

以上のような場合はその後の操作がどれだけ完璧でもPCR検査結果は陰性となります。この場合は「本当は感染症である」のに生体の反応と採材方法の影響から検査結果は陰性、すなわち偽陰性となります。

偽陽性の例。

  • 「ウイルスは確かに感染していないけれども、直前に吸い込んだ空気にウイルスが入っていてウイルスのDNAやRNAが採取できてしまった」
  • 「ウイルスは確かに感染していないけれども、機器や試薬の状態・設定・仕様が悪くてDNAやRNAが増幅や測定されてしまった」
  • 「ウイルスは確かに感染していないけれども、採材者・検査者・試薬・機器などにウイルスのDNAやRNAが付着していて検出されてしまった」

以上のような場合はその後の操作がどれだけ完璧でもPCR検査結果は陽性となります。この場合は「本当は感染症ではない」のに生体の反応と採材方法の影響から検査結果は陽性、すなわち偽陽性となります。

「難易度」の語順とベクトルの向き

「難易度」は「湿度」「温度」「濃度」とは異なり字面から方向の定まらない言葉です。例えば「湿度」は湿り気の尺度であり、空気中の水分量を軸(単位ベクトル)とした正方向のベクトルの大きさと考えることができます。「温度」は温かさ、「濃度」は濃さについて同様に方向の定まったベクトルの大きさと考えられます。ところが「難易度」は難しさと易しさを同時に含み、字面からはベクトルの方向が定まりません。一般的な意味では難易度が高いほど難しい、つまり難しさの指標となりますが、その意味では「難度」という言葉が適切かと思います。

湿度、温度、濃度を難易度のように三文字で表すと「乾湿度/湿乾度」、「寒暖度/暖寒度」、「希濃度/濃希度」が挙げられます。濃いの対義語は薄いが思い浮かびますが、希硫酸と濃硫酸という化学用語から「希」を採用しました。湿乾や暖寒、希濃と濃希は聞き慣れませんが、「乾湿度」や「寒暖度」は「度」の外れた「乾湿」「寒暖」として差の大きさを表す言葉として使われる印象があります。この「乾湿」「寒暖」は湿度や温度が低い→高いの順に並びますが、難しさを示す「難易度」の「難易」はこの逆です。

いろいろと考えましたが、「難易度」がなぜ「難度」よりも普及した類義語として使われるのか、「寒暖」「乾湿」とは語順が逆なのか、いつの日か知りたいと思います。

関心を持って書店をぶらついたらおもしろい本と出会えた

素人が自分の頭で考えても専門家と比べれば大した所産は得られないかもしれませんが、「おもしろい本」と出会うきっかけとしては自分で考えることが大事だと改めて感じました。

文章について自分の頭で悩んだ数日後、何となく書店の新書コーナーをぶらついていたら『段落論』というタイトルに目が向きました。普段は文系の新書には興味を示さないのですが、ちょうど悩んでいた自分にはタイトルが気になり、目次に書かれた「フォルダ」という馴染み深い言葉が段落論という堅いタイトルと対照的で好奇心がくすぐられていました。気づけば手に取り、ほかの本と買い物かごへ入れ、そのまま購入していました。

著者の石黒桂氏、そして光文社新書の編集部の力か内容は読みやすく多角的で知的好奇心が満たされるのですが、自分で考えていたことが深堀されたり、あるいは異なった視点を示されるので読んでいて思わず相づちを打ちそうになります。タイトルや配置、流行りを参考に買っても楽しめる本とは出逢えますが、当たり前だと思っていることでも自分の頭で考えることは素敵な出逢いのきっかけになることを体験できました。

何かを楽しむ方法はいくつかあります。考えてから情報と接することはそのひとつであること、ちゃんと覚えておきたいです。