余白を補う連続性のデザイン

オブジェクトの距離感を表す余白は美しさにも繋がるものですが、ページの下端に広い余白が見えるとオブジェクトがスクロールした下まで続くのか迷子になることがあります。そこで便利になる気がするのが連続性。オブジェクトを囲う枠やその一部の線があれば、スクロールした先まで続いていることが無意識に認識されます。

デザインによってはページの左右に余白をとって中央部と色分けしていることがありますが、これはそういう目的もあったのかなと何となく納得しました。そう考えてみると、左右ばかりでなく上下にも余白を入れて始まりと終わりを示すとより分かりやすくなるのでしょうか?

Google Chrome 80のオプショナルチェイニング記法導入

Google Chrome 80でオプショナルチェイニング記法(?.undefinednull除外の糖衣構文?)が導入との記事。ECMAScriptのプロポーザルのStage 4とありますが、Google Chromeプレビュー機能をリリース版で実装する方針ということでしょうか。

ECMAScriptで議論が進んでいる以上、ブラウザ戦争(IENetscape NavigatorのBLINK要素 vs MARQUEE要素)とはまた違うと思いますがーーまたちゃんと調べたいです。

クビアカツヤカミキリのCABI ISCデータシート情報(2020年2月1日時点)

全体の概要

クビアカツヤカミキリの国際的な外来種情報であるISCデータシートはCABIのInvasive Species Compendiumから自由に確認することができます。URLはhttps://www.cabi.org/isc/datasheet/118984。この投稿ではデータベースから一部情報を抜粋して扱います。このデータシートはFull datasheetであり、クビアカツヤカミキリの専門家により記述され、またピア・レビューされています。

昆虫は専門外で英語は不得意なので参考程度にお読みください。間違った内容があればコメントで教えていただけると嬉しいです。

データシートの概要

データシートは以下の内容を含みます。最終更新日は2019年11月19日です。

写真Pictures、同定Identity、侵襲性の概要Summary of Invasiveness、分類学的ツリーTaxonomic Tree、分類学および命名法のノートNotes on Taxonomy and Nomenclature、説明Description、分布表Distribution Table、導入および拡散の履歴History of Introduction and Spread、導入によるリスクRisk of Introduction、生息地Habitat、生息地リストHabitat List、影響される宿主および種Hosts/Species Affected、影響される宿主植物およびその他植物Host Plants and Other Plants Affected、発育段階Growth Stages、症状Symptoms、症状と兆候のリストList of Symptoms/Signs、生物学および生態学Biology and Ecology、気候Climate、天敵Natural enemies、天敵に関するノートNotes on Natural Enemies、移動と分散の手段Means of Movement and Dispersal、ベクター経路Pathway Vectors、植物通商Plant Trade、木製梱包材Wood Packaging、経済影響Economic Impact、リスク及びインパクト因子Risk and Impact Factors、診断Diagnosis、検出と検査Detection and Inspection、他種や状況への類似Similarities to Other Species/Conditions、予防と制御Prevention and Control、参考文献References、ウェブサイトへのリンクLinks to Websites、組織Organizations、寄与者Contributors、分布マップDistribution Maps。

同定(名称)

  • 優先される学名:Aromia bungii Faldermann, 1835
  • 優先される一般名:red necked longicorn
  • その他の学名:Aromia cyanicornis Guérin Méneville, 1844、Aromia cyanicornis var. ruficollis Redtenbacher, 1868、Aromia cyanipennis ab. puncticollis Plavilstshikov, 1940
  • 国際的一般名:English: peach longhorn beetle; peach longicorn beetle; peach musk beetle; plum and peach longhorn; redneck longhorned beetle; red-necked longhorn beetle
  • 局地的な一般名:ドイツ:Moschusbockkâfer、イタリア:Cerambice del collo rosso; Cerambice delle drupacee

影響される宿主植物およびその他植物

  • 主な対象Main
    • アンズ(杏)Prunus armeniaca (apricot)
    • セイヨウミザクラ(サクランボ)Prunus avium (sweet cherry)
    • ベニバスモモPrunus cerasifera (myrobalan plum)
    • セイヨウスモモ(プラム)Prunus domestica (plum)
    • ニワウメPrunus japonica (Japanese bush cherry tree)
    • ウメ(梅)Prunus mume (Japanese apricot tree)
    • モモ(桃)Prunus persica (peach)
    • スモモ(酢桃)Prunus salicina (Japanese plum)
  • 野生宿主Wild host
    • Azadirachta indica (neem tree)
    • Bambusa textilis
    • ポプラPopulus (poplars)
    • ギンドロPopulus alba (silver-leaf poplar)
    • Populus tomentosa (Chinese white poplar)
    • ウワミズザクラPrunus grayana
    • Prunus pseudocerasus (chinese fruiting cherry)
    • Prunus yedoensis
    • Pterocarya stenoptera (chinese wing nut)
    • ナラQuercus (oaks)
    • ヤナギSalix (willows)
    • ヒメツバキSchima wallichii (Chinese guger tree)
    • カホクザンショウZanthoxylum bungeanum
  • その他Other(本当に宿主か確認が必要な種)
    • Castanea mollissima (hairy chestnut)
    • シトラスCitrus
    • カキノキDiospyros kaki (persimmon)
    • マメガキDiospyros lotus (Date plum tree)
    • アメリカガキDiospyros virginiana (persimmon (common))
    • テウチグルミJuglans regia (walnut)
    • Olea europaea subsp. europaea (European olive)
    • ザクロPunica granatum (pomegranate)
    • チュウゴクナシPyrus bretschneideri (yali pear)

症状

  • 若齢幼虫によるダメージは樹皮下の小さな地下通路として認められます。中程度の子孔(しどう。幼虫によるトンネル)は健康あるいは不健康な木の幹や太い枝の辺材と芯材に認められます(Gressitt, 1942; Garonna et al., 2013)。
  • 攻撃された木の根元の大量の粉くずの蓄積は幼虫の侵入を示す良い指標となります。かなりの量の粉くず(幼虫の糞粒、小さな円筒形のおがくずペレット)が樹皮に開けられた穴から排出されます。
  • 成虫脱出孔(成虫が出てきた穴。楕円形で6~10×10~16 mm)は古い確立の兆候です。
  • 個々の木でいくつかの世代が成長することが可能であり、木を死へ導きます。
  • 木の根本の局所的な症状は他の木を食べる昆虫(xylophagous pests)による攻撃と混同されます。ヨーロッパのサクラ類(Prunus spp)ではCapnodis tenebrionisCerambyx scopoliiCossus cossusによる攻撃が似ています。

参考

「マニアによる乱獲」はタガメの「生息地」を減らすのか

Yahoo! ニュースで取り上げられていた産経ニュースの記事で気になる表現がありました。重箱の隅をつつく行為ですが。

タガメは国内最大級の水生昆虫として人気があり愛好家も多いが、近年は水田の水質汚濁や池沼の開発、マニアによる乱獲などで生息地が激減。環境省によると、販売目的の大量捕獲が続けば、絶滅の恐れが高まると判断した。

タガメ売買禁止、閣議決定 2月施行、乱獲で生息地減 - 産経ニュース

「マニアによる乱獲」という表現が「近年は水田の水質汚濁や池沼の開発」と並列されているのですけれども、希少野生動植物種専門家科学委員会で多産で回復が早いと言われている動物を個人であるマニアが乱獲して激減させられるものでしょうか。

好意的に取れば「近年は水田の水質汚濁や池沼の開発ので生息地が激減した上でマニアによる乱獲などがあり」を字数の都合でまとめたと考えられますが、そう考えても個人(マニア)による採取は許している希少野生動植物種専門家科学委員会の判断とは矛盾しています。

特定第二種国内希少野生動植物種の選定について - 令和元年度第2回希少野生動植物種専門家科学委員会 議事次第・資料
http://www.env.go.jp/nature/kisho/kagaku/191225siryo02.pdf
(「法第9条第2項及び法第12条第3項における販売又は頒布の適用フロー図 」として規制の分かりやすいフローも記載されています)

タガメは農薬などの汚染にとても敏感で、非常に微量の濃度でも成長を阻害されるか、死んでしまいます。このため、農家が大量に農薬を使い始めた頃から、その数を急激に減らしました。それでも丘陵地のため池では水はけが良いせいか、本種の生息のよりどころとなっていました。しかし、近年のゴルフ場などの乱開発が、これらの生息地も次々と破壊し、芝生の除草剤などが汚染を進め危機的な状況にあります。

RL/RDB:環境省

環境省によるタガメの説明でもマニアという表現は一言も出てきませんでした。むしろ乱開発と農薬による水質汚染を強調しています。

確認していない範囲でマニアが原因と言及されていたら記者の方に申し訳ないですが、因果関係やスケールの混同には違和感を感じます。

国際年代層序表(International Chronostratigraphic Chart)

調べるきっかけになった記事

平均(相加平均、算術平均)

要約統計量*1の中でも私たちの生活に身近である平均(相加平均または算術平均)についての自分用まとめです。

平均値一般

簡単な四則演算だけで定義される。

相加平均はn回の加算と1回の除算で計算することができます。その他の平均は相乗平均ならn回の乗算と累乗根、調和平均ならn+1回の除算などが必要となり、人力でもコンピューターでも計算が大変になります。

相加平均:\displaystyle \frac{a_1+a_2+...+a_n}{n}

相乗平均:\displaystyle \sqrt[n]{a_1\times a_2\times\cdots\times a_n}

調和平均:\displaystyle \frac{n}{\frac{1}{a_1}+\frac{1}{a_2}+...+\frac{1}{a_n}}

母集団が正規分布しない場合、必ずしも有意義ではない。

ヒストグラムを作成してピークが複数個あったり極端に左右へ傾いている場合、全体の平均値を取るよりも層別したりピークごとに分けて統計量を考えた方が良いかもしれません。例えばある集団の収入から税金を決定する場合、次図のように2つのピークに分離する集団の平均値を単純に適用しても良いでしょうか。

f:id:by-unknown:20200118221512p:plain

#install.packages("beeswarm", dependencies = TRUE)
library(beeswarm)

y1 <- rnorm(100, 10, 50)
y2 <- rnorm(10, 1000, 10)
y12 <- c(y1, y2)
y.mean <- mean(y12)

par(mfrow=c(1,2))

beeswarm(list(y1, y2), col=c("blue","red"))
abline(h=y.mean, lty="dotted")

plot(density(y12))
abline(v=y.mean, lty="dotted")

一般に中央値とは一致しない。

1、1、100→平均値34≠中央値1

(相加平均)≧(相乗平均)≧(調和平均)が成り立つ。

加重算術平均の特別な場合である。

加重算術平均の係数を全て1とすると平均(算術平均)と一致します。

標本平均

標本平均は不偏推定量かつ一致推定量である。

標本平均は期待値および極限が母平均と一致します。どちらも統計学的な扱いが簡単になる統計量の性質です。

不偏性:\displaystyle E[\overline{X}]=\mu

一致性:\displaystyle \lim_{n \to \infty} \overline{X}=\mu

母集団に正規分布を仮定する場合、標本平均は正規分布の左右対称軸と一致する。

母平均

母集団に正規分布を仮定できるか中心極限定理が適用できる場合は母平均を区間推定できる。

正規分布ポアソン分布以外の分布では一般にパラメーター(母数)ではない。

例えば正規分布N(μ, σ2)では母平均がパラメーターですが、二項分布B(n, p)などの分布ではパラメーターに含まれません。

*1:記述統計量、基本統計量、代表値

イヌとネコの物理作用による食物不耐性

前回と同様のレビュー論文“Food intolerance in dogs and cats”(J. M. Craig, JSAP)から物理作用(physical effects)による食物不耐性を紹介します。こちらも食物不耐性と同様に聞き慣れない言葉でした。内容は正確でないことをご了承ください。

物理作用による食物不耐性の概要

食品には消化管の物理的刺激、障害、運動異常を起こすことで便秘や急性大腸炎の素因となるものがあり、そのような食品が起こした異常を食物不耐性のうち物理作用によるものと呼ぶようです(タイトルでは物理作用による食物不耐性と意訳しています)。カーカス(carcasses)の摂取に慣れていないイヌでは骨、毛、ウールが具体例に挙げられるそうです。また、砂浜の砂も該当するそうで、大量に食べることで小腸の閉塞などを起こすそうです。

物理作用による食物不耐性
  • 骨、毛、ウール
  • 高脂質:胃で発酵
  • 大量の砂(ビーチなど):小腸閉塞、潰瘍、出血、消化管運動性変化

論文中ではゾヌリンについても記載されています。

参考文献

より詳しく調べたい方は以下の論文をご参照ください。個別の事項について参考文献が丁寧に記載されており、情報を追いやすいと思います。

Error - Cookies Turned Off